はじめてのお部屋探しって、わからないことだらけですよね。
とくにドキッとするのが、見積書に書かれている「仲介手数料」。
宅建を取得する前の私もそのような疑問をいだいていました。
しかし、仲介手数料にも法律で決まりがあるのです。
結論、原則家賃の0.5か月分。条件を満たせば家賃の1ヶ月分です。
え!家賃の1か月分が原則じゃないの?
そう思った方も多いと思います。
不動産屋さんは当たり前のように家賃の1ヶ月分を請求することが通例となっていますよね。
今回は、そんな業者に騙されないように仲介手数料の基本について解説していきます!
1. 仲介手数料ってそもそも何のお金?

仲介手数料はかんたんに言うと、「部屋を紹介してくれた不動産会社への、紹介料などのお礼のお金」です。
- 条件に合う物件を探してくれる
- 内見の手配をしてくれる
- 契約書を作り、説明してくれる
こういった「仲介の仕事」に対して払う報酬が仲介手数料です。
大家さんに払う家賃や礼金とは別のお金だ、という点がポイントです。
2. 法律で決まっている「仲介手数料の上限」

仲介手数料については、宅地建物取引業法(宅建業法)と、国土交通省の告示で上限が決められています。
居住用賃貸の場合の原則は以下のとおりです。
貸主から:家賃の0.5ヶ月分まで
借主から:家賃の0.5ヶ月分まで
合計:家賃1ヶ月分(+消費税)まで
つまり、本来の考え方では、借主が必ず1ヶ月分払う決まりにはなっていません。
この決まりは、「宅地建物取引業法」に規定されています。
例外
ただし、法律ではもうひとつルールがあります。
依頼者(借主または貸主)が「それでいいですよ」と承諾した場合に限り、
どちらか一方から家賃1ヶ月分まで取ってよい
という例外です。
これは、「宅地建物取引業法」の第46条で決められています。
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の一月分の1.1倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の0.55倍に相当する金額以内とする。
建設省告示第1552号 第四
多くの不動産会社は、「仲介手数料:家賃1ヶ月分+消費税」とあらかじめ説明し、その条件で申込書や重要事項説明書にサインをもらうことで、借主から1ヶ月分を受け取っています。
多くのお客さんは、この事実を知らずにサインしているケースがほとんどだと思われます。
私も知らずに家賃の1か月分で契約していたことが!もっと勉強しておけばよかった…
3. 「家賃1ヶ月分って言われた…これって違法なの?」

ここが一番モヤモヤするところですよね。
結論はこうです。
事前にきちんと説明がされ、あなたが承諾していれば、借主から家賃1ヶ月分の仲介手数料を取ること自体は違法ではありません。
でも、次のようなケースは問題になる可能性があります。
「半月分」と広告しておきながら、後から1ヶ月分請求する
広告やサイトに「仲介手数料:家賃0.5ヶ月分」と書いてあったのに、契約の段階でしれっと「1ヶ月分」に変わっている、など。
これは表示と違う条件なので、トラブルの原因になります。
いくら請求されているのかをしっかりと確認し、不当な請求がないか否かを判断しましょう。
金額や根拠の説明をせず、サインだけ急かす
こんなことがあったら注意です!
- 「ここはどこも1ヶ月ですから」とだけ言われる
- 重要事項説明書を流し読みで済まされる
- わからないと言っているのに、きちんと説明してくれない
こういう場合、「承諾があった」とはいえない可能性があります。
1ヶ月をとる理由をしっかりと説明させたうえで、納得いった場合のみ契約に進みましょう!
そもそも、説明責任を逃れているような業者とは取引しない方が絶対良いです!
合計額が上限(1.1ヶ月分)を超えている
貸主からも手数料を取っているのに、さらに借主から1ヶ月分以上を請求し、合計が家賃1.1ヶ月分を超えていると、これは明確にアウトです。
明確な法律違反です!
これは、承諾の有無も関係なく違反になりますので、すぐに指摘してOKです!
4. 不動産屋さんにこう言われたら、こう聞き返してみよう

不動産屋さんが悪意を持っているとは限りませんが、「慣れている側」と「慣れていない側」では、どうしても情報量に差があります。
不安を感じたときは、遠慮せずに次のように聞き返してOKです。
- 「仲介手数料は、法律上の上限はいくらなんですか?」
- 「貸主さんからはいくら受け取る予定ですか?」
- 「私が1ヶ月分払う必要がある理由を、もう少し詳しく教えてください」
- 「もし半月分にすると、どんなデメリットがありますか?」
このとき、質問にきちんと答えてくれるかどうかも大事なチェックポイントです。
モヤモヤをはぐらかすような対応しかしない会社は、他の項目でもトラブルになる可能性が高いので、無理にそこで契約する必要はありません。
5. 仲介手数料をなるべく抑えるための現実的なコツ

「絶対に値切ってやるぞ!」と構えるより、最初から「安くなりやすい条件の物件・会社」を選ぶ方が現実的です。
「仲介手数料0円・半額」の物件を探す
最近は、貸主が仲介手数料を負担してくれる物件や、集客のために仲介手数料を半額・無料にしている会社も増えています。
ポータルサイトの検索条件で「仲介手数料無料・半額」と絞り込めることも多いので、
まずはそこから探すのが手っ取り早いです。
交渉するなら「タイミング」と「言い方」を工夫する
「安くしてくれないなら借りません!」と強く出るより、
「初期費用を抑えたい事情があって……
もし半月分にしていただける物件があれば優先的に紹介してもらえませんか?」
と相談ベース で話すほうが、スムーズに話が進むと思われます。
不動産屋さんも私たちと同じ人間です。
お客さんが嫌な対応をしてしまえば、不動産屋さんも丁寧な対応をしてくれないでしょう。
こちらも、お部屋を探させてあげている、ではなくお部屋探しを手伝ってもらうという気持ちで対応することが重要です。
仲介手数料以外の「よくわからない名目」にも注意
- ○○サポート料
- 24時間安心サービス
- 室内消毒費
など、必須なのかよく分からない費用がまとめて入っていることもあります。
「これは加入しなくても借りられますか?」と1つずつ確認すると、トータルの初期費用がぐっと下がることもあります。
6. 「長期空き家」の特例って借主に関係あるの?

2024年・2025年前後の法改正で、長期間空き家になっている物件については、貸主側から多めに仲介手数料を取れる特例ができました。
- 通常:合計で家賃1ヶ月分+消費税まで
- 特例:長期空家等の場合、貸主からの分だけ上限を家賃2ヶ月分+消費税まで引き上げOK
ポイントはここです。
ニュース記事だけ読むと「仲介手数料が2倍になるの!?」と不安になりますが、借主側にとっては基本的に影響は小さい、ということだけ覚えておけば十分です。
7. 「これっておかしくない?」と思ったときの相談先

どうしてもモヤモヤがおさまらないときは、
一人で抱え込まず、第三者に相談するのがおすすめです。
- 各地域の 消費生活センター(消費者ホットライン「188」)
- 各都道府県の 宅建協会・全日本不動産協会 などの相談窓口
見積書・重要事項説明書・契約書・領収書など、
手元の書類を用意して相談すると、より具体的なアドバイスがもらえます。
まとめ

最後に、大事なポイントだけもう一度まとめます。
- 仲介手数料は「不動産会社への紹介料・報酬」のお金
- 居住用賃貸の仲介手数料は、
貸主+借主あわせて「家賃1ヶ月分+消費税(1.1ヶ月分)」が上限 - 原則は貸主0.5ヶ月分+借主0.5ヶ月分だが、
借主が承諾すれば、借主から1ヶ月分まで請求できる - 「1ヶ月分だから違法」というわけではないが、
説明不足・合計が上限超え・広告と違う条件などは要注意 - 不安があるときは、遠慮せずに質問・確認し、それでも納得できなければ他の会社を選んでOK
「よく分からないけど、そういうものか…」と流してしまうのではなく、
**自分でルールを知っておくことが、一番の「自衛」**になります。
この記事が、あなたのお部屋探しの不安を少しでも減らすきっかけになればうれしいです。